長良の落陽。

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zoom RSS 考・法人税減税

<<   作成日時 : 2014/06/21 11:38   >>

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 この5月、トヨタの豊田章男社長は決算会見で「漸く税金を払えるようになった」と話されました。この発言を共産党が取り上げたことから、ネット上では「払ってなかったのかよ!」と結構話題になりました。4千億円を超える赤字となった09年はともかく、10年以降の毎年2〜4千億円の利益を出していた年まで納税義務を免れていたとは誰も思わなかったからです。当然のことながら、トヨタは違法な脱税行為を行っていた訳ではありません。現行法人税制度には、損失が出た場合に最大9年間に亘り翌年以降の利益と相殺可能な『繰越欠損金制度』があり、他の研究開発税制など様々な優遇措置も相俟ってここ数年納税義務を免れてきたのでしょう。13年度決算では、さすがにそれでは追いつかない程の利益(連結2兆3千億円)が出たというだけのことなのです。
 繰り返しますが、トヨタに非はありません。しかし、例えば「エコカー減税」とは、車を購入する消費者が免れる税をどこかの誰かの税で賄う制度です。リーマンショック後の自動車業界を立て直すため、1兆円超とも試算される税を投入して国が支えてきたという一面もある訳です。法人実効税率を20%台にまで下げると言うことは、このトヨタの税を更に軽減しようとすることだと言うことは押さえておく必要があります。

 それ以前に基本的に重要なことは、税は人件費などの経費を差し引いた『利益』に対するものであると言うことです。つまり減税とは、それまで国民全体に回っていたものが内部留保に回るということなのです。そうなると、その資金は国内設備投資よりも株式投資などの金融市場に向かう可能性が高く、国際競争力の向上よりもそれこそ政府が最も期待していることなのかも知れません。
 そしてもう一つ忘れてならないのが、法人実効税率とは地方税である法人住民税と法人事業税、更に法人税のうち地方交付税の原資とされる分を含めたものであり、その割合は法人関係税収の約6割に達すると言うことです。つまりこの法人減税はまさしく地方の問題だと言うことです。

 復興特別法人税が終了しても法定実効税率35.64%は国際的にやや高めであることは確かですが、基本税率(25.5%)だけを考えれば遜色のない水準です。従って、法人優遇税制措置を廃止できるのかや地方再生の主要な自主財源を削減できるのかと言った率云々以外のところを考えることこそ法人税改革の主要なテーマと言えるのです。内閣官房参与の浜田氏は、ロイターのインタビューで「日本への投資拡大のため20%台に引き下げるべき」と発言されています(5/12ロイターweb日本)。しかし、国の税を考えることは国の在り方を考えることです。何故そうするのかの深い哲学が必要であり、地方が企業立地のために行ってきた古典的な手法を思いつきで再現するような類のものでは決してありません。日本を何で立国していくのかを指し示すことこそが最優先なのだと私は思います。

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                       百年公園

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