国がやらないから都で原発を語るのだ。

 知事に原発一般の未来を決める権限はありませんから、その選挙の争点とすることは、本来ではありません。しかし、新興国を含む世界のエネルギーのありかたを、様々な機会を捉えて議論することは大事なことです。インドや中国ではなく、東京が原発をどう考えているかは、私達も是非知りたい民意なのです。

 昨年末、原発大国フランスを紹介するドキュメンタリーがBS1で放映されました(制作=Morgane Production/ Kami Productions・仏)。電力の8割近くを原発に頼るフランスが、スリーマイル(79年)はヒューマンエラー、チェルノブイリ(86年)はソ連特有の事故、そして福島は自然災害であると割り切り、原子力に対する信頼に疑問を持たない背景を描くものでした。
 東大法学部とは比較にならないエリート集団である"コール・デ・ミーヌ"と言うグループが、アレバ社は当然として、政府中枢から議会までを支配しているから当然だと説明します。国家が原発ロビーなのだから、たとえ政権がどう変わろうがフランスの原子力政策に揺るぎはないのです。
 今フランスでは、ノルマンディー地方で第三世代の新型原子炉(EPR=欧州加圧水型原子炉)の建設が進んでいます。しかし、大型化で工事は遅れ費用も予定の33億ユーロから85億ユーロにまで上昇しています。更に、廃炉費用や保険料を含めて考えれば、電気料金に関する原発の優位性には疑問があると番組では訴えます。フランスの電気料金の安さは大量消費が前提であり、世帯当たりは決して安くなく400万世帯は電気代が払えない現実も紹介されます。
 福島以後、フランス以外の多くの先進諸国では様々な動きがありました。番組ではドイツなどの取組も紹介されましたが、当事国日本の姿勢は紹介されませんでした。
 
 昨年12月、経産省が発表したエネルギー基本計画の3次改訂案では、原発は「エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベース電源」とされています。民主党政権での「2030年代にゼロ」との目標は、依存度を「可能な限り低減させる」との方針に改められ、原発の重要性を再認識する方向、言い換えればかつての自民党政権に復帰した思想となっています。しかし依然として案に過ぎず、安倍政権の「エネルギー政策」は明確な姿を見せてこないのです。
 であれば、東電の大株主であり電力の大消費地である東京都民の意思を世界に示すことは無駄ではありません。民主党も自らのエネルギー政策を無かったことにされた訳ですが、それをどう考えているのかを明確にすべきです。ついでに言えば、幹部が東電労組出身のために舛添氏を応援するという、連合東京の"かっこ悪さ"についても一言あっていいのではないかと思います。

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