週刊・『チューズデー』 *数字の話 (上)

安倍政権が「デフレマインドの解消」や「インフレ期待」といった世の中の気分に頼る政策を重視しながら、都合の悪いことは「国民の実感ではなく数字こそが事実だ」、と批判をかわされるのは誠実ではありません。

大事なことは科学的な思考です。これから、その「数字」を少し整理して見ていきたいと思います。先ずは基礎的数値を「アベノミクスに限界論」という記事(「毎日」/6.1)から抜き出したものです。
 
リーマンショック直後の最悪期1度目の増税延期表明時(14/11)今回の延期表明時

【日経平均株価】 7,163円 → 17,344円 → 16,956円
【円相場・対ドル】 87円92銭 → 116円70銭 → 110円06銭
【個人消費・実質GDP】 288兆円 → 308兆円 → 306兆円
【設備投資・実質GDP】 63兆円 → 70兆円 → 72兆円
【有効求人倍率】 0.42倍 → 1.12倍 → 1.34倍(4月)
【消費者物価指数】 ▼2.4% → 0.7% → ▼0.3%(4月)

《注》①消費者物価指数は生鮮食品除く総合・前年同月比/の0.7%は消費税8%引き上げ影響除く。②株価は円未満四捨五入

円安・株高は日銀の異次元金融緩和やマイナス金利といった手段によります。有効求人倍率も目立って向上していますが、これは団塊の世代の本格的なリタイヤに伴う労働力の大幅減少が主因ですから、アベノミクスとは本来無関係です。そればかりか、生産年齢人口の急激な減少は、労働者不足による経済の縮小というリスクを伴いますから注意が必要です。

念のためですが、「有効求人倍率」とは、ハローワークが扱う求人・求職者数に拠ります。従って、民間求職サイトが充実するに従って、実態とかい離していく傾向にあります。この数値には他にも多くの問題がありますが、それは別の機会とします。

また、冒頭の数字をその時点でのドルベースで見てみますと、株価は81.5ドルから154.1ドルへと大きく値上がりしていますが、個人消費は3.3兆ドルから2.8兆ドルへ、設備投資は0.71兆ドルから0.65兆ドルへ、とそれぞれ減少しています。「消費増税延期を世界経済への懸念から決定した」、と言う場合には、日本経済もドルベースで考察するのは当然です。そして、その視点で見てみれば、アベノミクスが世界に誇れる状態ではないことは、あまりにも明らかです。


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       教育 【長良川/5日】

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