夏の鶯 【予測の問題】

ファーガソン(*)が『欲望の資本主義2020スピンオフ』(BS1)で語った中に、次のような部分がある。ここでの「予測の問題」とは、かつて米国の国務長官を務めたキッシンジャーが提示したテーマだ。

■「予測の問題」は、意思決定者の直面するジレンマだ。
■確率不明の大惨事のリスクに気付いたとして、それを排除する困難な行動に出られるかどうかという問題だ。
■大惨事が避けられたとき、起こらなかった事件に対しては誰も感謝しない。
■大惨事を阻止する困難な先手を打ったとしても、そこには見返りがないということだ。
■一方で、何もしなければ少なくとも行動のコストを被ることはない。
■要するに、民主主義では祈るほうが簡単だということだ。

この ❝起こらなかった大惨事には誰も感謝しない❞ という指摘は、戦争や経済危機だけではなく、今のコロナ危機に対しても当てはまる。

政府は、行動のコストを回避してその収束を祈るだけになってはいないだろうか。そこを検証するためにも、誰が何を決めてきたかという記録は欠かせない。そこの「コスト」までサボタージュすることは、あってはならない。


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【ツユクサ/22日】  


*ニーアル・ファーガソン:1964年生まれ・スコットランド出身。オックスフォード大卒の歴史学者/ジャーナリスト。専門:経済史・金融史。2004年「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる。


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