長良の落陽。

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zoom RSS 「同一労働同一賃金」は何故難しいのか。

<<   作成日時 : 2016/01/30 10:18   >>

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この問題を考えるヒントとしては、2010年9月14日の大阪高裁判決があります。60歳で会社を定年退職した原告はその後同社の嘱託として再雇用されたのですが、同じ業務内容なのに退職前の42万円余だった給与が23万円余になったのは不当だとして、その差額を支払うよう訴えたものです。

裁判所は原告の数項目の訴えの根拠の全てを退けましたが、その中の『同一労働同一賃金の原則に違反する』という点に関する見解は概ね次のとおりでした。

○この原則は、同じ労働契約に基づく同一賃金体系の場合の問題だ。
○正社員と嘱託とでは労働契約の種類・内容も賃金体系も異なるからこの原則は適用されない。
○一般的な労働関係法規範でもこのことを規定していないし、「公の秩序」としてこの原則が存在しているとも考えられない。
○高年齢雇用継続給付金制度でも正社員の61%にまで減額されることを予測していて制度上織り込み済みである。

つまり、同じ仕事なのにという素朴な疑問があるとしても、余程大幅なダウンでない限り問題はないとしています。定年に達した社員を賃金を減らして再雇用するのは一般的で、公序良俗違反とまでは言えないと結論付けたのです。

同じ会社で同一業務に再雇用した嘱託社員の賃金の減額を問題ないとした訳ですから、派遣社員が正社員と並んで働いた場合の賃金格差を訴えたとしても、根拠となる賃金体系をはじめ責任の度合いや拘束の程度の違いなどを理由に正当化されるのは目に見えています。

安倍首相は、施政方針演説(1/22)で「同一労働同一賃金」の実現に踏み込むと述べられました。しかし、"同一労働とは何か"という問題は言うほど簡単ではありません。派遣制度が製造業にまで浸透している現状では尚更で、結局は、非正規雇用に頼らざるを得ない日本企業の現状をどうするかに行き着き、頓挫するしかないのです。

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