週刊・『チューズデー』 *オバマの広島スピーチ

その前に、09年4月のチェコ・プラハを振り返る必要があります。『ノーベル平和賞』の対象となった、あの歴史的な演説です。核軍縮部分のみ簡略化して抜粋します。
○核兵器の存在は冷戦の最も危険な遺産である。
○核拡散は止められないという運命論は極めて有害な敵だ。
○核兵器を使用したただ一つの核保有国米国には行動する責任がある。
○米国が核兵器のない平和で安全な世界を追求すると約束する。
○包括的核実験禁止条約の批准をただちに、そして積極的に追及する。
○核拡散防止条約を協調の基礎として強化する。
○テロリストが絶対に核兵器を取得しないようにする。
○新たな基準でロシアとの協力を拡大し、新しいパートナーシップを追求する。
○米国が主催して核の安全保障に関するグローバル・サミットを開催する。
そして、演説の最後は次の様に締めくくられました。
人間の運命は、私たちが自ら切り開くものです。ここプラハで、より良い未来を求めることによって、私たちの過去に敬意を示そうではありませんか。私たちの間にある溝に橋を架け、希望を基にさらに前進し、これまでより大きな繁栄と平和をこの世界にもたらす責任を引き受けようではありませんか。共に手を携えれば、それを実現することができます。

大統領就任間もない高揚感に満ちています。"Hibakusha"を前に広島で語った言葉と比較すること自体、意味のないことです。

しかし、「科学は生活をより良くすることに集中すべき」という「素朴な知恵(simple wisdom)」を「広島の教訓(lesson of Hiroshima)」とするだけでは、大統領としての責任は果たせません。プラハで「行動する責任がある」と語られた結果が広島訪問だけで良い筈がありません。あの熱い思いが何故実現できなかったのかを明らかにし、次期大統領に確実にその意思を引き継ぐことは、欠くことのできない責務です。そしてそれこそが、核使用国アメリカの大統領が被爆地広島の地を訪れたことの最大の意義、と言えることなのです。



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             麦畑と水田
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